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2013/11/02

 
★ カウントダウン企画について
遊戯王GXの双璧、天上院吹雪と丸藤亮の誕生日である10月31日&11月1日まで、
1日1作品を公開してカウントダウンしていくWEB企画です。
当サイトは個人が運営する非公式版権二次創作企画のサイトです。版権物の製作元、及び関係者様とは一切関係ございません。


URL:http://souheki-countdown.blogspot.jp/
主催:モミィ
■企画に関するお問い合わせはこちら

募集要項(応募は締め切りました)   ≫ 参加メンバー

2013/10/24

2013/10/24 あと7日!

 
「明日の」
Novel by El.Knights様

「吹雪」
眩しい日差しが降り注ぐ昼、すっかり寒くなったせいか、いつも人波で溢れているデュエルアカデミアのカフェテリアの外側はからっぽだと言える感じだった。その中で一人、席でティータイムを楽しんでいる人がいる。彼の名前は天上院吹雪。彼は手にしていたコーヒーカップを口元に移した。自分を呼んでいる声の主が誰なのかすでに分っているから決して急がない。熱いコーヒーを思い切り味わってからこそやっと口元からカップが離された。相手はもう一度吹雪に言い出した。
「ちょっといいか」
相手も吹雪についてはよく知っているので、吹雪の相手を無視するような態度-顔を合わせないとか-に対して何も言わなかったし、彼に急かしたりもしない。二人は元々そういう関係だから疑問を持つ必要すらなかった。吹雪は顔を上げる。
「デュエルの話かい?それならちょっと後にしてもらえないかな。すぐ先約だから他の事は考えたくないんだ」
「あ、そんなものではない。今度の週末に少し時間をもらいたいんだが」
デュエルの話でもないのに時間を貰えるだなんて。こういうのは吹雪の記憶によるとほぼあり得ないことである。吹雪はほおづえを突いて考え込んだ。
(ふうん、いちばん無難なのは弟でも紹介してくれるのかなァ…週末の予定はもう決まってるけど、ちょっと無理したら時間は作れそうだけど…一応、聞いてみようか。面白そうなら受ける。でなければ断っても良さそうだし)
考え終わらせた吹雪は向こう側の椅子を指した。それに応じるように亮は席についた。
「時間?なんで?」
亮が席に座ると吹雪はほおづえを突いたまま質問をする。亮は少し戸惑ってから口を開けた。
「その…とある人物にプレゼントしたいのだが、お前…に良く似た人だからお前が選んでくれたら助かりそうだ。他人への贈り物は自信がなくてな」
吹雪は目を丸くした。
(思ったことより面白そうじゃないか。これは絶対女だネ。へぇ、くそまじめかと思っていた亮に女か…これなら一日ぐらい無理してみる価値はあるよネ?)
吹雪は腕を下げ、姿勢を正しく直してにやりと笑った。
「紹介してくれたら」
亮は頷きながらああ、と答えた。
「正午から晩飯の前までならいいよ。プレゼントは陸地で買うんだろ?ここじゃプレゼントしそうなものがないじゃない」
「あ…ああ、そうだな」
亮はそこまでは考えてなかったのか少し驚いた顔で返事をする。吹雪は予想通りだとせせら笑った。
「週末の正午に、船着場で。近くのいい店はないか調べるのも忘れずにネ」
「ああ、では船着場で」
その言葉を最後に、向こう側の椅子に座っていた者はどこかへ去ってしまった。いたずらな笑顔で吹雪は少し冷めたコーヒーカップをまた口元に移した。

2013/10/19

2013/10/19 あと12日!

 
残るメッセージ1019
Novel by 紅子様

帰宅したのは、午前二時を過ぎた頃だった。
明日に迫ったプレゼンテーションに関する打ち合わせがまとまらず、終電を逃してしまったのだ。
新規プロリーグの立ち上げを誓ってから、片手では足りない年数が過ぎた。
志ある者を募ってチームを結成したものの、思うようにいかないことばかりで、最初の数年はやきもきしたものだ。
何度も案を練り直し、交渉を繰り返して、ようやく半年前に海馬コーポレーションに企画が通った。
企画が通ったことで、今はそれまでとは打って変わり、多忙な日々を送っている。
それでも、鼻で笑うように一蹴されさえしたものが形になっていくのが嬉しくて、目が回るような忙しさが嫌だと思ったことは一度もない。
進行中の企画が実現すれば、デュエルモンスターズを取り巻く環境が大きく変貌することは間違いないだろう。
一緒に頑張ってくれている翔やチームの仲間、何より新しい試みに期待を抱くすべての人々のためにも、必ず成功させなくてはならない。
深夜にまで食い込むミーティングも、それを思えば安いものだ。
――とはいえ肉体とは正直なもので、体中が疲れを訴えている。
倒れこむようにソファに寝転ぶと、どっと睡魔が襲ってきた。
このまま眠ってしまおうかと目を閉じかけたそのとき、視界の隅で点滅する赤い光に気づいた。
さらに、留守録の有無を示すランプが点灯していることにも気づいてしまった。
今日のことは今日のうちに片づける――無視して寝入ることを良としない自身の性格が、こういうときほど面倒くさいと思うことはない。
のそりと起き上がって再生ボタンを押すと、明朗快活な声が部屋に響いた。

2013/10/11

2013/10/11 あと20日!

 
「親友」になれるまで
Novel by 花茨ライ様

デュエル・アカデミアは全寮制の高校であるが、日本では珍しく二期制で新学期は秋に始まる。
つまり、10月を迎えた今、俺はまだ入学して1ヶ月程しか経っていなかった。
ようやく教室の配置やアカデミアの規則に従う生活に慣れ始めた頃である。

「亮!」

「……吹雪」

名前を呼ばれて振り返れば、吹雪が手を振りながらこちらに駈けてきた。
天上院吹雪。ジュニア時代にトーナメントでよく戦っていた、大会の上位に食い込む常連だ。
今は偶然アカデミアで同じ寮に入ったため、仲良くさせてもらっている。

「はぁ、亮と一緒にいると心が休まるよ〜」

「…また女子生徒に囲まれていたのか?」

「えっ、どうして分かるの!?」

「校庭が騒がしかったからな」

俺は図書室で本を借り、ちょうど出てきたところだったのだ。
図書室から寮への帰り道、通り抜けた校庭で吹雪が女子生徒に囲まれていたのを遠目に見かけた。
そう言うと、吹雪はわざとだろう、少しいじけたように頬を膨らませた。

 
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